2002年8月の不定期日記 
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不定期日記



■ 2002.8.31   残暑

 というか、真夏日のように思い切り良く暑い日々が戻ってきていますが、私のなかじゃもう秋です。夏は終わりです。終わりったら終わりです。<夏苦手
 秋だと思い込めばこそ、昨日は黒のスーツなんか着て仕事に行ったんですが、私自身はそう辛くなかったけれど、傍目には相当暑苦しく見えたらしい……しかしだ、色はさておき、長袖のスーツ着ててちっとも暑くないくらいに建物の中は冷えていたんですが。
 ちなみに、私にとってスーツは作業着以外の何物でもないです。普段がカジュアルOKな職場で、それこそ全身ユニクロで固めて出社しても許容範囲なんですが、お客さんのところに行くときはさすがにスーツです。で、お客さんのところに行く用事の半分は、マシンやら周辺機器の設置やら設定なんですよね。パソコンやらケーブルやら抱えてガスガス大股で歩き回って、机の下に潜ったりするわけです。ヒール履いてパソコン運んだりしていると冗談ではなくこけそうで、スニーカーだけは認めて欲しいと常々思ってるんですが。いや、そんなときはいっそのこと、ツナギの作業着のほうがよっぽどいいと思うんですが。<いや、そもそも一応はシステム開発が主力の会社のはずなんだが。

 閑話休題。
 新しいペンを買いました。これまでよく使っていた水性ペンは書き味は良いんですが、筆圧の高い私の場合、すぐにペン先が痛んでしまう。それと、もうちょっと微妙に太い線が出せるものが欲しくて、万年筆タイプのものを買ってみました。ぶっとい胴体が握りやすいです。
 とりあえず試し描き。

■ 2002.8.28   愛の逃避行

 またしても課題図書があるんですが、1ページも手をつけていません。
 もう、締め切りの土壇場まで絶対に手をつけないであろうことが、これまでのパターンで分かりきっています。分かってても直せないこの一夜漬け体質。ふっ、締め切りの日は徹夜だな……

 で、何をしているかというと、全然関係ない本ばかり読んでたり。それも、全く火急性が要求されないものばかり。未読本ならまだしも、既読本の再読ばっかりだなんて我ながらいい根性。しかもそれが柴田元幸さんの『愛の見切り発車』(新潮文庫)なもので、まだ見ぬ本たちに愛の嵐。帰ってこられなくなりそう。

■ 2002.8.26   断章

 樹と、樹を見ること
 夢はどちらにあるのだろう

フェルナンド・ペソア『断章』(フェルナンド・ペソア/澤田直 訳編『不穏の書、断章』思潮社)

■ 2002.8.25   領分

 ラカトシュの新譜を買いました。『LAKATOS ON MOVIE』(Deutsche Grammophon) 映画音楽のカバー集。とてもジャジーでジプシー的で東欧的でセクシー。
 サントラは好きです。クレーメルもそうだったけど、ヴァイオリンでクラシック曲以外に手を染めると、必ず映画音楽にぶち当たるようです。映画音楽はジャズヴァイオリンのレパートリー満載なんですね。クレーメルのタンゴや映画音楽のカバーもシャープで好きなんですが、彼の場合、マッドアーティストのクールにキレた演奏という感じで、やっぱり本職のクラシック畑、コンサートヴァイオリニスト色がついてまわる。その点ラカトシュはクラシックを土台としたテクニックは勿論素晴らしいけれど、その上で漂う場末感が堪らない。バーや街頭で聞く音のライブ感がある。刺激的だけど、リラックスして聞ける。
 ただこの場末感はあくまでもヨーロピアンな仄暗さだ。間違ってもアメリカのジャズ演奏家には出せない種類の雰囲気だと思う。逆に、ヨーロッパの人に出せないアメリカっぽい音というのもあって、『ラプソディーインブルー』なんか絶対にヨーロッパ(特にドイツ系)のオケに演奏して欲しくないと思うわたくしです。それぞれ真似できない味がないと面白くないでしょう。

■ 2002.8.24   意地悪じいさん

 昨日の日記に書いた倉阪鬼一郎の『活字狂想曲』のなかで、やたらと山本夏彦が引用されていて、気になっていたもので検索したら、こんなサイトが出てきました。なるほどなるほど。気に入るかはわからないが、かなり気になる感じ。著作を探してみよう。

 しかしどうも私が気に入る文筆家、特に随筆やコラムが好きな作家は、なんとなく古い人が多いみたいです。つらつらと並べてみると、薄田泣菫、寺田寅彦、内田百閨A山口瞳、遠藤周作、北杜夫……主に大正期ですね。しかも、あきらかに意地悪じいさん系(いや、寺田寅彦と北杜夫は違うっぽいけど)。でも、意地悪じいさんって、なんだかいいなあと思うんですよ。人を食ったような物腰、わがままでこすっからくて意地悪で、しょうもない悪戯とかもして周りは迷惑かもしれないけど、なんか本人は楽しそうだ。解脱の一境地のようにも思われる。こういう隠居になりたいものだと常々思います。
 とはいえ、じいさんにはどう頑張ってもなれないから、そうすると意地悪ばあさん……? なんだかそれはいかんなあ……語感も悪いし、見栄えも意地悪じいさんのような飄然とした雰囲気にならない。こればっかりは如何ともしがたいですな。まあでも、森茉莉くらいに徹底して我が道を行くばあさんなら、それも素敵だと思う。

■ 2002.8.23   勤め人

 倉阪鬼一郎『活字狂想曲』(幻冬舎文庫)、ノンストップ読了。

 ああもうこういう人いるいるそうそうそういうときってあるよねどこもやっぱ事情は似たようなもんなんだなあまったくやんなっちゃうね……等等、膝を叩きながら、くうぅ〜と拳を握り締めながら読んでました。会社ってヘンだよね、勤め人って気楽な稼業だけど面倒臭いし馬鹿馬鹿しいことも多いよね、という、会社勤めをはじめた当初のとても素朴な感想、しかし日常に忙殺されてふと気づくと麻痺しかかっている感覚が走馬灯のように(って別に死に際ってわけじゃ勿論ないんですが)湧きあがってきました。
 暗坂氏の協調性皆無な行状は、ああ、こうできたら楽だろうなあ、あの上司に面と向かってこう言えたらなあ…という、一応は社会人面の下に押し隠している私の願望を容赦なく暴き立ててくれる。「機嫌が悪いので早退します」などと、つるっと口にしそうになる瞬間って、結構あります。誤植じゃなくてね。
 しかし、暗坂氏は自分のことをすごい社会不適格者のように書いているけれど、じゃ社会適格者ってなんなんだって考えると、彼の描く職場が奇人変人で満ち溢れているように、そんな人はどこにもいないんじゃないかと。ただ、会社という組織の持つ風習に、コミュニティの構成員として最低限の適応ができるかどうか、その適応にも、同化と言ってもいいくらいのレベルの人と、スレスレの人とがいるってことでしょうね。
 関係ないですが、私は「勤め人」っていう語感は、結構好きです。「月給取り」とか。「サラリーマン」はイヤじゃないけど、私生憎、男じゃないもので。間違っても「OL」とは呼ばれないところに、私のイメージってもんがどう他人に捉えられているか、そこはかとなく感じ取れます。それはそれで気楽。

 それにしても、ここに出てくる印刷業界の雰囲気って、システム業界と似てるところが多いなあ……実際、本文中に残業の多い業界として「1.印刷 2.広告 3.コンピュータ」と書かれてますが、うーんなんかわかるような。共通点は、オーダーメイド受注型製造業ってとこでしょうか。あと、製造物の最終的な品質チェックが、人の目と判断力に大きく頼って行われるところ。オーダー側工程は肥大するのが常で、しわ寄せは必ず最終チェック工程にやってくる。人間とは増長するもので、自分に失敗はないと思い込みがちだから。それで世紀の大誤植やら、世紀の大システムトラブルやらが起きるわけですな。あ、いかん、暗くなってきた。暗坂効果。

■ 2002.8.20   完全な

 オリジナリティというものはほとんど存在しないし、存在してもそれは一目見て多くの人々に受け入れられる種類のものではないだろうと思う。ということで、この世はありとあらゆるパロディで満ち溢れていると思うんですが、それでも会田誠の『美しい旗』が宗達の『風神雷神図屏風』をパロっているとは気づきませんでした。またしても『BRUTUS』です。やってくれます。ゲリラ的に面白い特集組んでくれます。興味ある方は、是非、特集記事『日本美術? 現代アート?』をご覧あれ。
 日本画も、水墨画などは書にも似た一気呵成の勢いの上に成り立つ鋭い構図が多いですが、屏風絵や扇紙は反対に、これでもかというほど精緻なものが多いですね。『洛中洛外図』のマニアックさなんて、ミニチュアマニアの世界に通じると思うし、『燕子花図屏風』の反復のリズム感なんて、あれを全部手で描いたなんて信じ難い。日本人には気質的にマニエリストとマニアッカーが多いんだろうか。

■ 2002.8.19   反省

 した直後だけはわかりやすく勤勉になる私。しかし、問題は持続力が保って三日以内だということ。

 台風が通過した後は、空気が絞れそうなくらいにじっとりと湿気で重い。暑さは暑さで制すべしとはいえ、そんな体力と根性はなし、ということで、早々にクーラー入れて部屋で伸びています。その上、エンドレスで鳴っているのはEGO-WRAPPIN'の『NIGHT FOOD』。格好いいです。でも、どんなにアップテンポな曲でも、なぜか怠惰でダウナーな気分になるのはなぜでしょう。間違っても、朝聞いてはいけない種類の音楽です。

■ 2002.8.18   週休5日

 土日しか書かれないこの日記の有様に合掌。<そりゃ日記とは言わん。

 ひょんなことで『生徒諸君!』(庄司陽子 講談社漫画文庫)全巻を知人から借りることができて、思わず今日一気読みしてしまいました。いやもう懐かしい。懐かしいの一言。
 年代からいって、私はリアルタイムで読んでいた世代ではないんですが、昔よく遊びに行っていた児童会館(そういえば、最近これもあんまり見ないなあ。この辺にないだけ?)に全巻揃っていて夢中で読んだのを覚えています。当時小学生だったし、今読み返して例によって内容をさっぱり覚えていないことからも、そのときにはあんまり理解していなかったと思いますが。しかも私は相当ヒネた小中学生だったし、今は年の功でそれに輪がかかっているはずですが、やっぱり夢中になるんだなあ、と変な感慨を持ったり。でも沖田君が遭難するところでは不覚にもうるうるしてしまいました。ああ不覚。

 しかし、ついでに『ナニワ金融道』も一緒に借りて来たんですが、さすがにこの直後に読み出すほど、私も切り替えは良くないです。ちなみに、なんちゅう組み合わせの蔵書じゃとその知人に突っ込んだら、その組み合わせで持って帰るお前もお前だと切り返された。……同類項ですか。

■ 2002.8.17   トラウマ

 うどんや素麺を茹でるときに、うっかりダマになりそうになると、親の仇のようにほぐしにかかる最近の自分に合掌。

 ああ、それにしても単独行動できていた頃は楽だったなあ、と今になって実感しています。これまでは職場で紛れもなく最下っ端で、関わっている仕事も小規模のものが多かったので、わりと切りのいい範囲で担当を振られて、後は上流工程や他システムとの連携部分以外は自分のスケジュールだけを気にしてればよかったわけですけど。スケジュールの遅れはほぼ自分の責任で、自分が頑張って何とかすればよいという単純明快さ。こういう環境はキツイけど、動きやすいんですよね。団体行動苦手気味なので。
 今はとりあえず、作業を分担しているメンバーの一人にほぼ張り付いて、プログラミングとデバッグを手取り足取り見ている状態。コイツのバグが取れないと自分のプログラムが動かないんだからしようがない。そのメンバーに「配列って何ですか」と聞かれて、私は卒倒しそうになりました。そんなもん新人研修で教えておいてくれ!(いや、それ以前の問題か……)

 あーなんかいかんなあ、愚痴っぽくなってきて。最近の若いモンはとか言い出すのは年を取った証拠。
 書いたらちょっとすっきりしたので、この話題はこれでやめ。
 読まされる皆様には誠に申し訳ない。

■ 2002.8.12   夜明けの見えないミートソース

 一日中、究極のスパゲッティソースの解読をしてました。といっても、美味しんぼではありません。
 「ソース」はプログラムソースのソース。それがスパゲッティと言えば、もうどんな状態かおわかりでしょう。汚いプログラムを見ると、誰しも自分のタコ時代に思いを馳せるものですが、それでも今回見たのは、過去のやらかしにかけては大きなことの言えない私にも人跡未踏の出来栄え。塩も入れず、ほぐしもしないまま茹で過ぎて吹きこぼして、油もなじませずに放置したって感じです。<えらく具体的なのは、ええまあ……
 半日は作者のココロを読み取ろうと謙虚な気持ちで読んでましたが、残りの半日は、これを解読して修正するのと、全面書き替えで新規作成するのとどっちが早いか、知恵熱出るくらい悩んでしまいました。うあああ、どっちもやだやだ! ちゃぶ台ひっくり返したい!!
 まあ、問題の本質は、こんなプログラムが存在して動いているということ以上に、これを書いた奴が出世しているということにあるんですが。

■ 2002.8.11   焼けました<第二段>

 仕事や約束がある日でもなければ、人間一匹どこに消えてもさほど問題ではないはずで、へろっと日光なんぞに行ってきました。
 なんで日光かっていうと、……あんまり理由はなかったり。まだ行ったことのない土地で、万年運動不足のデスクワーカーが歩ける程度の山があって、一泊やそこらでほいほい帰ってこられて、などなどの条件に引っかかった候補のなかで、なんとなく決まったわけです。それも、土曜日の朝に、起き抜けに唐突に。計画性まるでなし。でも今回はカメラ忘れませんでしたよ〜 その代わり、肝心の山のどまんなかでフィルムが切れましたけど……やっぱり詰めが甘かったです。忘れた頃にでも、写真のページにUPするかと思います。

 というわけで、またしても日焼けが痛いです。あと怖いのは、筋肉痛です。ちゃんと明日来ればよいのだが。いや、本当は今すぐにでも来てないとおかしいんだが。

■ 2002.8.4   小包

 実家から定期便と化しつつある小包が届きました。
 中身は乾物と、先日家族で行ったらしい中国地方旅行のお土産。絵葉書やら小物やらと一緒に、出雲大社のお守り。赤いお守りには、麗々しく金字の『えんむすび』。……お、おのれ(爆)!

 母上、無言のプレッシャーかけるの勘弁してください。お願いします(涙)

 それにしても、もう8月なんですねえ……光陰矢のごとし。





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