2003年2月の不定期日記 
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不定期日記



■ 2003.2.26   「それから、以後どうだい」

 なんだかんだ文句を言いつつ、『それから』(夏目漱石・新潮文庫)読了。
 えらい理屈っぽい口説きが妙に色っぽい。代助の告白シーンだけで、前半の不届きな発言の数々を見逃してやってもいいと思いました(えらそうに)。


■ 2003.2.22   苺とシャンパン

 クリスマスからおあずけだったシャンパンをやっと開けました。
 ……ええ、そうなんです。年末この日記で愚痴っていたシャンパン。今年に入ってから開ける機会はあったんですが、大変恥ずかしながら、いざ開ける段になって……コルクが抜けなかったんです。ああもう、いくら体力落ちてるって言ったって、酒飲みがコルク抜けないようではお仕舞いです。ことあるごとに挑戦して、やっと今日抜けました。万歳三唱。やー、放っておくと身体なまりますね。鍛えないとダメですね。いや、それ以前の問題か。思い知るきっかけが酒壜のコルクってあたり、なんとも言えませんが。

 で、栓は抜けたものの、チーズがないことに気づいて買いに出たスーパーで苺の特売に遭遇して、まんまと苺も買ってきました。小粒だけに大味でなくておいしい。チーズは西友印の安いやつなんですが、塩味効いてて意外とシャンパンに合う。
 普段、酒の銘柄は不味くて二度と遭遇したくないやつしか覚えてないんですが(何せ横文字が覚えられない)、今日空けたシャンパンは結構美味しかったので、ここにメモっておきます。
 ルネ・ジャルダングランクリュ、96年もの、ハーフ。これだったら飲みやすいから、フルでも良かったかも。
 次買うときまで覚えているかな。


■ 2003.2.16   季節外れの第九

 サー・サイモン・ラトル指揮、ウイーンフィルの第九を聞いて、不覚にも涙腺緩んでしまいました。
 三楽章で寝なかったのは、はじめてです(そういう基準か…)。
 もとい、何より合唱が良いです。賛否両論あるそうですが、あの脳天に響くようなベルカント唱法なんかより、私はこれが好きです。人間を揺さぶるのは、人間の声なんですね。
 オケはもうあのウイーンフィルなもので、折り紙付きなんですが、なんだか妙に低音が弱めに聞こえたのはCDプレーヤーのせいなのか、もともとなんだろうか。
 そして、4楽章のピッコロは凄かった。トランペットに負けてないですもん。三番奏者の面目躍如ですな。ベートーベンはきっとここのピッコロを、天使の笛のイメージで書いたんじゃないだろうか。有象無象の大合唱のなかから、軽やかに1本浮き上がって、まるで全体を統率するかのように鳴り響く。ラッパじゃきっとこの軽やかさは出ないでしょうね。

 私のなかのベートーベンのイメージって、ロマンチストで熱血体育会系、ですっかり定着してしまってます。暑苦しいけど、やっぱ凄い。


■ 2003.2.11   星回り

 というやつがあるらしく、いつも学校や職場を一掃した風邪を、最後の最後に引き込みます。構想十年企画一日、ひと冬かけた馬鹿は風邪引かない実証実験がパアです……と、意気揚揚、友人に報告したところ、そんな構想自体が馬鹿だと一刀両断にされました。病人に愛のない連中です。おまけに、みんな抗体できてて、伝染せやしない。<鬼……

 星回りといえば、私はみずがめ座なんですが、そのなかにも山羊座寄りのみずがめ座と、うお座寄りのみずがめ座があるらしく、それによって性格も運勢も相性も……という薀蓄を電話で延々聞かされている間に猛烈な睡魔に襲われ、うっかり相槌を打ち損ねて妹の大不興を買いました。でもなあ、話聞く分にはみずがめ座もヘタレなくらいおっとりな星座らしく(すみません、妹の話ではそうだったんです。一般的ではないと思います。いえ、私はヘタレですけど)、山羊座もうお座も基本穏やかおっとり気質だそうで(あくまでうちの妹の話ですが、そうなんですかね)、そんな前門も後門もおっとりし放題なら、どっちがどっちでもいいわいという気分になっていたのは、すべて風邪薬のせいです。いや眠かった。性格も運勢も薬には勝てないのか。
 ちなみに私は山羊座寄りです。ミーハーのくせに保守的で革新を好むが小心者だそうです。微妙に当たっているような、そうでないような。(てゆうか、性格バラバラやんけ。あ、そこが当たっているのか…)

■ 2003.2.9   いろいろ

 前の日記から今日まではいろいろありすぎて、もう書こうという努力をてんで放棄しているんですが、昨日今日としばらくぶりに休日らしい休日を過ごしました。寝ていなければ本を読んでいて、でなければ買い物してました。いやストレス発散もあるんでしょうが、3週間ほども休日が潰れると、結構切実な買い物が溜まりますな。

 寝っ転がりながら本を読むと、際限なくベッドの周りが散らかっていきます。あれやこれやつまみ食いのように手を出しては目移りするという集中力のなさですが、そんなんでも読了したのが森博嗣『そして二人だけになった』(新潮文庫)。なんだかですね、読んでて、妙に悲しくなってきてしまいました。いえ、小説の内容に対してってことじゃなくて、こう、読んでて新鮮味を感じなくなってきた自分に対して。読んでいくうちにわりと早い段階で展開が読めてきて、結局結末は予想通りではなかったけど、驚くほど想定外ではなくて、ヘンな慣れが出てきてしまったなあ、と。いえ、はっきり言えば、飽きてきたと言ってもいい。作風に。こういう読者を相手にするんだから、作家も大変な仕事です。

 飽きた飽きたと言っても仕方ないので、新鮮だったことを。映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を観てきました。原作はすでに読んでますが、内容をほぼ綺麗に忘れ去っていたので、ほとんど素で観たのと同じです。(なんて鳥頭。こんな読者を相手にする作家って…)なんか、ハリーとロン、声変わりしてませんか?! いや、格好いいんだけど、おねーさんドキドキですよ。<阿呆 ハーマイオニーはちょっと痩せた感じ。それよりスネイプ先生、なんだかとてもいい人じゃないですか。大人気ないけど。目から鱗がばりばり。こんなスネイプ先生では、次作がますます楽しみですねい。<すみません、原作読んだ方だけわかってください(笑)

 も一つ、新鮮なもの。今ごろ、黒田硫黄にはまってます。『茄子』を1〜3巻一気買いして、一気読みしました。この人の絵って、台詞回しも含めて、ものすごく印象的。出てくる人物すべてが、少し汗がにじんで湿った肌が感じられるくらいにリアル。次は『大日本天狗党絵詞』に行こうかな。それとも、『セクシーボイスアンドロボ』にしようかな。

 そうそう、映画館で『指輪物語』の予告編見て、早く原作の第二部読まなきゃと思い出しました。文庫を買っておいて、あちこちに道草してたもので。まずどこに片付けたか探さなきゃ。(私の片付けって、一体……)


■ 2003.2.1   座礁

 あれやこれやがいろいろと頓挫しています。免許の更新に行ってない。年賀状が間に合わなかった人への寒中見舞いを出してない。頼まれものも送ってない。そろそろ引越しをしようと思っていて、でもそのための身辺整理も進んでない。そもそも部屋の片付けも終わってない。壊れた腕時計を直しに行ってない。一月からこっち、読み終わった本は一冊もない。見事な全中途半端状態。こうもとっ散らかっていると、台風の目の中にいるように逆に落ち着いてしまうのは何故だろう。
 やさぐれた心に梅こぶ茶がしみるぜ。

 ちなみにこの梅こぶ茶、半月前くらいに戸棚の片づけをしていて発見しました。貰い物のような気がするけど、思い出せない。賞味期限2002年9月。むむむ、乾物がいっちょ前に賞味期限を主張するとは。即座に見なかったことにして今日に至ります。美味いです。生きているから大丈夫だと思います。

<本日の座礁本>  夏目漱石『それから』(新潮文庫)
 なんかこの主人公、妙にムカつくんですが、何故だろう。私が三千代ならこんな男はイヤですな。
 しかし、こうも作中の人物に反感を抱いたのは、はじめてかも。だいたい私は好きな作中人物にはせいざい感情移入しても、気に入らないのはナチュラルに黙殺する回路だけが取り柄なのに(笑) きっと、代助が適当な御託並べながら親の金でぷらぷらしてるのが気に入らないんだろうなあ。なまじ今自分が仕事であくせくしているだけに。それよりも、『三四郎』から先に読んだほうがよかったような。







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