2003年8月の不定期日記 
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不定期日記



■ 2003.8.28    それは太陽のせいだ

 なんて言ってられる季節も、もうそろそろ終わりですね。

 カミュの『異邦人』を読んでいると、とてつもなく無気力になって困ります。

 ぱそくんも無気力です。すぐにダウンします。

 へヴィローテーションがスガ シカオの『SMILE』だったりするのがまたダウナーです。

 今日も文節が短いです。

 それもこれも、みんな太陽のせいだ。

■ 2003.8.24    今年は西瓜食べてない

 ご無沙汰でした。もう夏は終わりかーと思っていたら、今日町内のお祭りでした。盆踊りの音がガンガンに聞こえてきます。

 仕事のピークとウイルス騒ぎとパソコンとネットワークの不調が重なって、ここ2週間ほどネット落ち状態でした。
 もうウイルスは勘弁してほしいですね。会社でも大騒ぎだったんですが、家のパソコンも調子が悪くなって、てっきりウイルスにやられたものかと思ってしばらく立ち上げてませんでした。今流行りのMSBLASTというやつ。詳細は「MSBLAST」で検索かければ出てくると思いますので、WIN2000かXPを使っていて、聞いたことないという方は是非一度チェックしてみてください。で、うちの場合、パッチとスキャンソフトを媒体で手に入れて、今日ようよう穴を潰した上でスキャンをかけたら、ウイルスはいないと言われてしまいました。うちはWIN2000なので絶対にやられてると思ったんですが…あまりにも調子が悪すぎてウイルスにも避けられたのか…… 何個かパッチを当てたらちょっと持ち直したので、これでしばらく様子見です。

 いろいろあったんですが、面倒なので箇条書き。ここんとこ仕事以外は映画浸りでした。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』を観ました。(8/14)
 何が良かったって、ジョニー・デップ!!! あの胡散臭さが堪りません。それでいて格好よいんだからもう詐欺です。それ以外も非常に丁寧に、良心的に作られてる映画だと思いました。コスプレ映画によくある、セットや仕掛けが露呈するようなディティールの破綻が全然ないです。ところどころのツボを押さえたオトシというか、コミカルさが実に呼吸を心得ていて、観ていて心から楽しめます。ただ、トルトゥーガの風景は、あまりにもディスニーランドの『カリブの海賊』そのまんまですねえ。

『英雄-HERO-』を観ました。(8/16)
 これは私はいまいちでした。何と言うか、ずーっと張り詰めたままで、力の抜きどころがないのがトゥーマッチな感じで、息切れします。映像も綺麗なんですが、なんかいかにも合成した綺麗さで、一番見せ場になるはずの剣戟のシーンも、ちょっと私には現実ばなれしすぎてなんだか楽しめなかった。

『永遠のマリア・カラス』を観ました。(8/17)
 映画そのものよりも、バックで流れているオペラの音楽と歌が素晴らしい。『ノルマ』の「カスタ・ディーヴァ」はフィリッパ・ジョルダーノがカバーしているやつを聞いて好きになった曲ですが、本家本元もやっぱりいい! このままオペラにまではまってしまったらどうしようか。身の破滅だ…

『AUGASTA CAMP 2003』に行ってきました。千葉マリンスタジアム。(8/23)
 杏子や山崎まさよしなどが恒例でやっている、野外ライブ。大学時代の先輩に誘われて、元ちとせが出るというだけで二つ返事行ったんですが、良かった!!! ナマ山崎まさよし! ナマ元ちとせ! 贅沢過ぎます。予習ゼロで行ったんですが、全然楽しめます。元ちとせのあの声の伸びはすごい。天才だと思います。山崎まさよしも、あの声がナマで聞けただけで幸せです。そして、スガ シカオに洗脳されて帰ってきました。これまでほとんど聞いたことなかったんですが無茶苦茶いいですね。野外ライブで、スタジアムという音響的にはそれほど良くない環境で、あの音は素晴らしい。スガ シカオのときだけ、バンドの音が全然違いました。きゅっと締まっているというか。他の人たちのは残念ながらちょっとエッジがぼやけた感じがしたんですが。バンドメンバーが無茶苦茶上手いんでしょうなあ。席は2階スタンドだったんですが運良く日陰で、風に吹かれながらビール飲みつつ、こんなライブ聞けるなんて幸せでした。ああ、夏はこれで終わった感じ。にしても、あとから飲んだビールの量を数えてびびりました。缶に換算して5本くらいは飲んだか……汗かいてるし、すぐに抜けるんですけどね。<言い訳

 その他。

『マクベス』(シェークスピア/福田恒存 訳 新潮文庫)読了。(8/14)
 思ったより呆気ない劇。ハムレットに比べて面白くなかったんですが、これがずっと傑作として上演されつづけているのには何か理由があるんだろう。まあ、筋立てが単純な分、演出が好き勝手やりやすいかもしれない。

『珍品堂主人』(井伏鱒二 中公文庫)読了。(8/17)
 人のなりをした狐やら狸やらがわらわら出てきて化かし合いをする話です。「化かし合い」を変換しようとしたら、第一変換が「馬鹿試合」だった。なんだかそれでもいいかという気もしたけれども。



■ 2003.8.10    炎天下

 彷徨いました。あれだけ駅で地図をなめるように見て行ったのに、正反対の方向に歩いていたとは。これからは意地を張らずにおのぼり丸出しの地図持参で行きます…

 というわけで行ってきたのが竹久夢二・弥生美術館。いっぺん行ってみたかったんですよねー。弥生美術館のほうで『美少年コレクション展』というのをやってて、それも面白かったです。大正から昭和初期の少年雑誌の挿絵中心で、ちょっと懐かしめ暑苦しめアヤしめの挿絵作品がずらり。壮観でした。弥生美術館てよく知らなかったんですが、明治から昭和にかけての挿絵作品や出版美術のコレクションで有名なとこのようです。どうもメインは高畠華宵の作品のようですが、実は私が好きなのは伊藤彦造。狂気を孕んだ血の滴る画風が何とも言えず。思わず画集まで買っちまいました。

 画集の解説のなかで、伊藤彦造と同系統の人として三島由紀夫が挙げられてましたが、そう言われてみれば確かに。思想的には実際のところどうだかわかりませんが、作風だけ取ってみても、お耽美だけどストイックで紙一重なところがそっくりかも。あああ伊藤彦造が三島由紀夫の小説の挿絵描いてたらうっとりだろうなあ。『金閣寺』とか、『仮面の告白』とか! 現代のイラストレーターや漫画家に、そう思う人っていないなあ。いくら耽美系と言っても天野喜孝なんてもってのほかだし、強いていうなら山岸涼子だけど、彼女の絵はあまり肉感的(この要素、三島作品にはとっても大事だと思う)じゃない。それでも色気があるってのが凄いですが。


■ 2003.8.9    台風

 が関東を去っていくまで、寝てました。玄関の戸がガタガタ言うくらいの嵐は寝て過ごすに限ります。でも、14時ごろに昼寝を始めて、目が覚めたのが20時っていうのはやり過ぎでした。

 それというのも、目覚まし時計が壊れてました。時計部分ではなく、アラームが。
 しかも、2つあるものの新しいほうが。アラームのならない目覚ましなんて最低です。存在価値ありません。今度は無駄にスヌーズ機能なんかついてない、シンプルにやかましいやつを買おうと思います。だいたい朝の私は、寝ぼけながらも目覚ましの裏の電源からスイッチ切ってるんだから、スヌーズなんか無用の長物なのです。しかも、そこまで手の込んだことしていながら、その間の記憶がない。無意識って恐ろしい。いやもっと恐ろしいのは、そこまでいぎたない私。

 あまりにも図星でぐうの音も出ない本を読みました。

 図星その1 『それでもSEになりたいか』(葵沢速人 SOFTBANK)
 ……これ、まさに現場の人が書いた本です。あまりにそのまんま過ぎてシャレになりません。ギャグだと思って読み始めたけど、そんな余裕が吹っ飛んだぜ。「システム屋は肉体労働だ」とか「24時間働きますが何か?」とか「システム提案は松竹梅で」「無限会議ループからの脱出」「老兵は死なず、ただ居座るのみ」…あーもう耳が痒い痒い。ちょっときれいにまとまり過ぎているきらいはありますが(現実は本書の内容よりさらにもうちょっとエグい…ことが多い…かな…)まあ一般の人が読むにはここらへんまでが暴露本に成り果てない限界点でしょうか。これから就職活動する学生諸君と、お客さんに読んでもらいたいですね。とくに後者はコレ読んで、哀れな子羊どもにちっとは愛の手を差し伸べてください。いや、愛はいらないから金を払ってください。同業界人にはお勧めしません。なんだか、もの哀しくなってくるのでね……

 図星その2 『クラシックB級快楽読本』(許光俊・鈴木淳史 洋泉社)
 皆が薦めるつまらないA級を聞いて爆睡するより、ちょっと癖があってもその癖がたまらないB級を楽しもうぜ!…って本。だと思う。それよりも、盲目的におクラシックを崇拝するんじゃなくて、亜流だと言われてもマイナーでも悪趣味でも、自分が好きなものを自分が好きなように楽しもうぜってことだと思う。
 そんなことより私が衝撃的だったのは、アーノンクールってデビューした当時はB級だったのか?!(だって本書ではお笑い系だなんて言われてた)とか、アファナシェフって変態ピアニストだったのか?!(私は実を言うと彼の演奏が大好きだ。彼の『展覧会の絵』は確かに瀕死って感じに遅すぎだけど)とか、とにかく私の大好きな演奏家がかなりの割合で登場していたことで。自覚はなかったけど、私はB級マニアだったのか……(ちょっと呆然)
 ホロヴィッツは勿論、シフラ(ピアノ)とかガッゼローニ(フルート)とかリンドベルイ(トロンボーン)とか、私の感覚ではA級に燦然と輝く人たちなんですが。まあアファナシェフはさすがに…… ただ器楽独奏系の演奏家は、協奏曲などのオケの作品はともかく、自分の楽器の独奏ピースではかなりおちゃらけもやることも事実で、その一発芸的なところがないと面白くも何ともない……と思っている私は、やっぱりB級好きなんですかねー。
 そして、図星の最たるものは、このテの読本巻頭のお定まり、「これが当てはまったらアナタも立派な○○○!」っていうチェックリスト。ここでは「クラシックB級批評宣言」の最終項。17.知らないことは恥じゃない。 B級マニアは、じつはスタンダードと呼ばれる演奏をあまり知らないかったりする。スタンダードを知る前にB級が気に入ってしまったなんていうのは、もしかしたらウソで、スタンダードを知るのが馬鹿馬鹿しく、めんどくさくなっちゃっただけかもしれない” えーもう、そのとおりで。ただし私の場合、そもそもスタンダードが何であるかを知らないという体たらくですが。でも私には、この心強い言葉があるのさ。

 悪趣味はすばらしい。






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