2004年2月の不定期日記 戻る 
不定期日記

■ 2004.2.29    健康オタク

 気に入っていたタンブラーを割ってしまった。マグカップやら蕎麦猪口やらで牛乳や麦茶を飲むのは抵抗ないんですけど、焼酎とか、ワインとかは……どうかな……

 そういえば、昨日一ヶ月ぶりくらいに会った妹その1は、知らない間に健康オタクになっていて、ミキサーを買って、毎朝自家製にんじんジュースを飲んでいるらしい。ハーブティーとか干しアンズとかにがり入り豆乳とかに凝っているらしく、糠床にまで手を出して、毎日混ぜているそうだ。一体どういう風の吹き回し。これまで家で御飯も炊かないヤツだったくせに。ヤツお勧めというほうれん草&アロエジュースを貰ったんですが、柑橘系かトマト以外のジュースは全部青汁に見えてしまう私にどうしろと。

 私はといえば、今日やっとキャベツを完食しました。四分の一くらい残っていたものの半分をパスタに入れて、残りは浅漬けにしてお茶請けに。めちゃめちゃ達成感あります。もうしばらくキャベツは見たくないです。


■ 2004.2.28    国博

 『南禅寺』展に行ってきました。東京国立博物館。言い出しっぺの妹は、待ち合わせ場所に来ないので電話したらやはり「二度寝した」とか抜かして大幅遅刻。あいつはまっとうな社会人生活、送れてるんだろうか。

 展示の大半は実は興味なくて(坊主の肖像画とか読めない草書の古文書とか)、メインは襖絵。狩野探幽の『群虎図』と、円山応挙。『群虎図』はポスターにも出ているアレです。もう会期が終わる直前だったせいか、全8枚の半分しか出ていなかった。残念。円山応挙は大好きな画家で、この人ほど構成の巧い絵師はいないと思っている。特に襖絵なんていう巨大な面の構成をやらせると秀逸。これも襖2種類しか出てなかったけど、1時間くらい座ってぼーっと見てました。幸せ。そういえば江戸東京博物館でも応挙展やってますよね。早く行かなきゃ。

 妹はひとつひとつを隅から隅まで見るタイプなんですが、私は興味あるやつだけを何時間でも見るタイプ。我儘者です。先に入った私は先に見終わってしまったので、隣の『日本の美、日本の心 帰国展』を覗いたら、なんと『洛中洛外図(舟木本)』が出ていた! めちゃめちゃ拾いもんでした。これは隅から隅まで、いつまで見ていても飽きない。よくまあこれだけ描き込んだなあと思います。『風神雷神図』とかもあって、時間切れで見られなかった妹は悔しがってました。遅刻したんだから、自業自得です。これ、ドイツで開催した展覧会の帰国展だそうですが、目録を見ると結構すごい著名品オンパレードなセレクションで、有名でわかりやすくて良いものを大量に送ったんだなーと思いました。これ、そっくりそのまま日本でも展示してくれればいいのに。帰国展と言いながら、全体の半分も展示してなくて、かーなーり不満。

 『AT LAST』の二曲目、"Walk on by"の英詞を探してるんですが、なかなか見つからない。バカラックの曲のカバーらしいので、そのセンから根気良く探すしかないか。短い詞だから大体のところはわかるんですけど、どうしても聞き取れないところがあって、気になるんですよね。


■ 2004.2.26    オーラを分けてもらう

 久々に感じ良くって面白い人と会って、元気出ました。ミーティング自体は双方のニーズが合わなくて不成功だったんですが、なんだか気分はいい。アポ取って人に会いに行くのって結構楽しいということを発見。営業、嫌いだし向いてないと思ってたけど、意外といけちゃったりするのかな。でも電話苦手だからなあ…

 その後帰ってきて、横浜駅でさ迷いました。人波に押されるままに改札を抜けたら、北改札とやらで、見たこともない異様に新しいコンコースが広がっていて、ここはどこ私は誰状態。こんな地元で迷うなんて。横浜駅はいまホグワーツの校内みたいなことになってます。毎日と言っていいくらい、ルートが変わる。私がこっちに越してきた当時から工事しっぱなしですが、いまだに全貌が見えません。路線が変わった東横線は、私の周りでは評判悪し。やっぱ桜木町駅がなくなったのはイタい。

 BGM 『AT LAST』CYNDI LAUPER。
 この人、やっぱいい声してるよね。


■ 2004.2.22    掃討作戦

 大分前に貰った蕎麦パスタをやっと完食しました。長かった。……い、一年くらい?
 どう頑張ってもやっぱり食感がきしめんなんだよなあ。でも前のアンチョビソースより、今日のトマトソースのほうが味がはっきりしているせいか美味しかった。パルメザンチーズどばどばで。それにカリフォルニア・ワイン。これが甘かった。飲みやすいんだけど、飲んだ気がしないよ。
 これでやっときしめん(じゃないって)は片付けたけど、あと白菜とキャベツっていう大物が残ってた。白菜はともかくとして(昨日のラーメンには大量投入しました勿論のこと)、キャベツってバリエーションがあまりなくて使いにくいよ。しかも半分で買っても独り者には多すぎるし。ちょっと食べたくなって買うと、そのあとしばらくキャベツ地獄。しょーがないから明日まとめて酢キャベツにでもするか。

 PCのキーボードがむちゃくちゃ調子悪い。どうしよう。接触が悪い感じで、軽くタッチしただけでは入力できていない場合がある。特に、Ctrl+CとかCtrl+Vとか、もう力いっぱい押さないと反応しないし。きっとCtrlキーが一番へたってるんですね。キーを底まで押し付けるように打っていると、昔ピアノの先生に、鍵盤は下まできちんと押さえなさいって言われたのを思い出しました。それくらい適当かました弾き方してた横着な生徒でした。出来の悪い生徒で先生ごめん。

 BGM 『FILIPPA GIORDANO』FILIPPA GIORDANO。
 しばらく振りに聴いたけど、この人ほとんど地声で歌ってる。オペラ曲なのに。すごすぎる…
 そして発音がフランス語っぽく聞こえる。巻き舌はさすがにイタリア人だけど。


■ 2004.2.20    久々

 の日記がぼやきですが。

 ある出版社の編集者と会うことがあったんですが、その人がむちゃくちゃ尊大な態度であまりにも頭にきたので、家に帰って、その社の雑誌(一応最低の礼儀としての予習用に何冊か買ったのだ)を全部鍋敷きにしてやりました。その出版社の出版物をすべからく読まない者は人間ではないような態度でした。思い上がりもいいところ。第一、もしかしたら客になるかもしれない人間を前にしてそういう態度って、ビジネスじゃありえないよね。本にはいろんな用途があるのよ。ラーメンの鍋敷きにもなれば漬物の重しにもなるのよ。ご存知ないでしょうが。なんか、一部の学者の世界と通じるものがあるな。

 そして、反射的にそういう感想を持っちゃう私は、どっぷりビジネスに浸かってスレてしまったなあと思います。(遠い目)

 『僕はどうやってバカになったか』マルタン・パージュ/大野朗子 訳(青土社) 読了。(2/13)


■ 2004.2.11    はしご

 といっても映画館ですよ。

 新宿で『アドルフの画集』。今日は水曜で映画の日だったんですね。知らないで出かけたんですが、異様に混んでいると思ったら。この映画は、つくるのに並々ならぬ勇気が要ったと思います。ヒトラーもやはり一人の人間だったと認めるには、彼のしでかしたことは強烈すぎて傷跡も大きすぎる。鋳型に嵌め込んで「怪物」にしてしまうほうが、私たちの精神安定上、楽だ。それは往々にして臭いものに蓋をする行為でもある。一方で、実際にその時代を体験した人々の感情の存在も無視はできないんだけど。例えば、私の母方の祖父母の家系は終戦時の台湾からの移住者だけど、当時の経緯を彼らに訊く勇気は私にはない。

 渋谷で『ぼくの伯父さん』のレイトショー。映画のおかげでしょうが、あんななごやかな笑いに満ちた映画館ははじめてでした。私にとっての所謂「ダメなおじさん」の原型は、いままで北杜夫だったんですが、そのさらに原型を見た感じです。しかし、フランス語が優雅だなんて誰が言い出したんだろうか。ささやくようなイントネーションに音楽的な発音? まー喧しいことでした。あれは論争向きな言語ですね。

 映画の間の余り時間は喫茶店を転々として本読んでました。家で読むより進む。

 『飛ぶのが怖い』エリカ・ジョング/柳瀬尚紀 訳(新潮文庫) 読了。
 私が生れた頃のベストセラーだそうで。でも状況はそのときとさして変わってないのね……と。今読んでもあまり古いと思わない。訳者解説を読むと「ポルノグラフィー」と書かれていて、確かに文中でも主人公が自ら「ペダンティックなポルノ書き」と言ってるんですが、ポルノを読んでいる気にはならなかったなあ。確かにペダンティックではあるけど、どっちかと言うと、むちゃくちゃ文学的な上野千鶴子を読んでいる気分というか。「ファック」って当時は今よりもっと衝撃的な言葉だったんでしょうが、遠まわしに婉曲に修辞するほうがいやらしいのは今も昔も一緒だと思うけど。何事もストレートに言ったほうが色気もなにもないわけで。御託は抜きで、とにかくすごく面白い本です。ほぼ一気読み。爽快で、滑稽で、懲りない、ただでは起きない女の話。こういう本が絶版になっちゃうって、すごく勿体ないと思う。ついでに言うなら、文庫の表紙はもうちょっとポップでキュートでえっちな感じのにするべきだったと思うよ。これじゃあ渡辺淳一です。ぶーぶー。

 『市民の日本語』加藤哲夫(ひつじ書房) 読了。
 コミュニケーションの話。といっても、よくクローズアップされる1対1の問題ではなく、集団でのコミュニケーションの問題。誰も何も意見を言わない会合をどうすればいいか、時間ばかりかかって何も決まらない会議をどうすればいいか、住民対お役所の不毛な話し合い(往々にして罵り合い)をどうすればいいか。そういう問題。ただここでは、きちんとした動機付けや理由があって人が集まる場のコミュニケーションが取り上げられていて、示されている解法もそういう場なら有効だろうと思います。現実として私がよく遭遇するのは「会議のために会議する会議」だとか「『定例』会議」だとかいうのなんですが、こーゆーのはそれ以前の問題ですね。

 欲望の暴走列車が止まりません。明日。明日つけよう。そしたらちょっとは冷静になって反省する。かも。……なんてね。


■ 2004.2.8    とんぼ帰り

 この週末のために風邪と胃を治した(治ったはず)と言っても過言ではないです。コーヒー絶ちはつらかった。

 6日は一緒に仕事してた他社のSEさんの送別会。最後まできっちり対応してくれて律儀な人でした。はじめて赤坂見附の駅で降りました。お高い街の雰囲気にびびりつつも、行ってみればとっても家庭的な韓国料理屋さんでした。どぶろくがカルピスみたいで美味しかった。

 7日は京都で大学の同期の結婚式。大学のブラス仲間なんですが、披露宴のBGM選曲に同期一同、大受けでした。オードブルの段階で『ローマの松』が鳴ったときにはもう。ネタかいそれは!(笑) 前菜でもうお腹いっぱいです。この先、『カルミナ』とか『スパルタクス』とか鳴り始めたらどうしようかと思いました。前日が上のとおりなもので当日入りだったんですが、会場に着くまでに迷って、エスカレーターを焦って駆け上がって行ったら、待ち構えていた同期に「感動的な式場への乗り込みっぷりだった」などと言われて、まったくもって不本意。でもひさびさに同期と会えて楽しかったです。皆あまりにも変わってなくて笑えた。考えてみればここ2年間くらい、関西は行ってなかったな。

 それにしても京都は寒かった! 『そうだ、京都いこう』に誑かされて数年前に行ったのを最後に、冬の京都は懲り懲りです。帰ってきた横浜のほうが暖かかったよ。

 『倫敦塔・幻影の盾』夏目漱石(新潮文庫) 新幹線のなかで読了。(2/7)
 『趣味の遺伝』の冒頭に鳥肌。漱石はやはり英文学者だったんだと心から納得します。あれほど見事に戦争の狂気というものを、直截な描写は何もなしに修辞だけで表現した文章はないと思う。美文上等。写生主義なんて豆腐の角に頭ぶつけて(以下略)


■ 2004.2.1    風邪

 は小康状態。今日も出勤。

 昨日は頑張って練習行ってきた。チャイコフスキーの5番はやっぱり難しい。初見ハンデということで2番にさせてもらったんですが、2番も難しい。しかも目立つ。吹き甲斐はあって楽しいんだけど。うちの楽団はコントラバスの正規団員が今いなくて、練習はベース抜きになってしまうのですが、そうするとファゴットの2番が最低音を出していたりして、これが結構気持ち良かったりする。40数名の最低音ですよ。1本で。しかもチャイコフスキーで。ファゴットと雖も低音の勝利で絶対聞こえるし。p と書いてあっても mf でいいやとか思っちゃうし。こういう曲、コントラバスなんか本当に気持ち良いだろうなー。あーほんとにコントラバスに転向したくなってきた。(とか言って「来週は1番吹いてね」と言われた事態から逃避)

 代謝を良くすべく、晩御飯はうどんチゲ。土鍋に出汁とうどんとキムチと冷蔵庫の余り野菜をぶち込んだだけのシロモノですが、なかなか美味い。まあ味は全面的にキムチ様のおかげなんですが、かなり前に買ったものだけに結構酸味が強くなってて、ちょっとトムヤンクン風。






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