……観てきました。観てきましたよとうとう。ふふふ……

　良かったです、ほんとに。＜この一言に万感の思いを感じ取っていただければ…
　
　３時間の上映時間が全然気にならない濃さでした。それだけ原作が印象深いシーンの目白押しだってことなんでしょうが、もう６時間やってくれたって、あの映像、あのキャスト、あのシーン割なら望むところです。てゆうかやってくれ、お願い！
　映像が、本当に本当に美しかったです。冒頭のホビット庄の描写で、すでに泣きそうになりました。ファンタジーの映画化の成否を分けるのが、この映像面での破綻というか、舞台裏が見えてしまうことだと思うんですが、そして私は大体において根性の悪い観客なのでそこらへんの粗捜しを無意識にやってしまっているんですが、途中からそれをうっちゃっていたのに映画が終わってから気づきました。キャラクターも皆素晴らしくハマり役で、こんなに幸せにトリップしたのは久々です。
　ただ、原作を読んでから観に行くことの欠点として、常に原作と引き比べてしまうということがあるんですが、その呪縛からだけは逃れ難いですね。でも、だからといって映画を減点する気には全然なりません。あれはあれで、ひとつのイメージで背筋が通った世界だと思うからです。

　全体を通してすごく心地よかったのが、言葉の響きの美しさでした。原作を読んでいたときは、当然翻訳だから日本語で、いまいちピンと来ない部分もあったんですが、今回字幕スーパーで観て、英語が流れるように美しかったのが印象的でした。間に混じる物語固有の名前も、響きがとても綺麗。思わず。原作を原語で読みたくなりました。でも、相当な根性と時間がないと、即挫折しそうですけど…

　で、それと関連するんですが、聞いていてとくに台詞の流れが美しい、抑揚が綺麗でどんなシーンでもとても言葉が聞き取りやすかったのが、舞台出身の役者さんたちでした。特に、イギリスの舞台出身の方々。ガンダルフやビルボ、ギムリといった方々です。
　映画でも漠然とそう思っていたのですが、後でパンフレット見て納得です。彼らはシェークスピアなどの古典劇をやりつけているんですね。聞きかじりですが、シェークスピアの時代の舞台はほとんどが野外劇で、台詞などもそういった環境を意識して、とてもリズム感のある、聞き取りやすい、綺麗な台詞回しなんだそうです。きっとそういったところが、『指輪』の世界の言葉の流れを表現するのに良かったのかもしれません。ビルボなんて、どんなに小さい声で喋っていても、きっちり聞き取れてびっくりしましたもん。シラブルがとっても美しかったです。
　そこへいくとアルウェンは雰囲気は良かったけど、台詞はちょっと聞き取りづらかったなあ…　

　とまあ御託はこれくらいにして、以下は愛のつっこみです。愛です、マジで。

・原作読んでたときから怪しかったのですが、映画を見て私は実はガンダルフファンだったことが判明しました。ごっちんごっちん頭ぶつけてるのが何とも言えず可愛い……

・でもサルマンとの戦いのシーンはすごかった！　これほど凄まじい爺さま同士の戦闘シーンがいまだかつてあったでしょうか。　いやそもそも爺さま同士の戦闘シーンがこれだけのカットを費やして描かれたことがあったでしょうか！　爺さまだって戦うのです。気骨の爺さまたちです。全国の爺さまたちよ、立ち上がれ！

・ピピン＆メリーの悪ガキコンビ、大好きです。でも実際身の回りにいたら、襟首掴んでバケツもって廊下に立たせますけど。彼らがいてこそ、あの数々の修羅場が越えられたんだろうなあ、フロドは。

・身の回りはレゴラスファンばかりなんですが、ガンダルフ（別格）を除けば、私はアラゴルンファンです。か…かっこいい〜〜〜!!!　声だけがちょっと意外でした。もうちょっと暗い感じの声だと妄想していたもので。

・レゴラスは……まあ、可愛いっす。彼は冷めたムードの漂うエルフ族のなかでは、熱いエルフですね。

・どこの世界でも、女王様が美しく賢いと王様は影が薄くなってしまうのでしょうか。ちょこっとしか出てこなかったケレボルン様にものすごく失礼な感想を抱いてしまったのですが……ファンが怖いのでここには書けません。その……観に行った方はお好きにご想像なさってください。アラゴルンも気をつけないと。（ついでにハルディアにも……脱兎）

・サムを見てすんごく懐かしくなりました。グーニーズ、好きだったなあ……

　ところで、映画にちなんだグッズのカタログを見ていて思ったんですが……ひょっとして黒の乗手って、結構人気ありますか？　ボールペンだのシャーペンだのストラップだのマスコットだのいっぱいあるんですが……
　なんでガンダルフマスコットはないんでしょうか（悔）　サルマンＴシャツだってあるのに（本気で悔しい）
　ここはマウスパッド（白の陣営のほう。ほぼオールキャストですが、ガンダルフが一番大きい〜♪）で妥協するしかないのでしょうか。納得できん……

(2002.4.7)