Charlie and the Chocolate Factory/2005/USA/原作:ロアルト・ダール/監督:ティム・バートン/ジョニー・デップ、ノア・テイラー、ヘレナ・ボナム=カーター
映画『チャーリーとチョコレート工場』観て来ました。
楽しかった! 賛否両論(というよりほとんど「否」ばかりだったけど)聞いていたとおり、ウォンカさんが原作とかなり違う人だったけど、私はあのアレンジはおっけーでした。むしろ、生身の人間として描くならああいう感じになるだろうな、と納得したくらい。オープニングが何とも秀逸。あのファンタスティックなところのまるでない、威圧的でミリタリックで独裁的な工場のオートメーションの映像だけで、ウォンカさんをどういう感じで描きたかったのか何となくわかる。そして全編に漂う人工的で薄気味悪い感じも素晴らしい。特に最初のチョコレートの滝の光景の色彩の毒々しさやけばけばしさには感心しました。おとぎ話を具現化したら気持ち悪いに決まっているのだ。本で読んでいるとスルーしてしまうところだけど、あのお話の通りの工場を本当に作ってしまう人がいたら、ちょっと耐えられないメンタリティーだろう。そういう意味で原作では毒を含みつつもわりに淡々とノーブルに描かれていたウォンカさんが、映像化にあたっては完全にぶっ壊れた大人として具現化されたのは一つの正解な気がする。実のところ原作のオチには私、かなり拍子抜けだったんでした。あれだけ毒を効かせた展開の後で「最後に残ったチャーリーは見事勝ってウォンカさんの工場を譲り受け、家族みんなで幸せに暮らしましたとさ」っておいおいおいチャーリーそれでいいわけ? とか、あんた他に人生設計とかないわけ? とか余計なおせっかいをね。ハッピーエンドのセオリーとはいえ、あまりにも無批判に棚ボタを受け取ってしまうおとぎ話の主人公にはなんか違和感ある。いい子ちゃん過ぎるきらいはあるにせよ、ウォンカさんにノーと言うチャーリーのほうが私は好きです。
しかし最後の最後で父親と仲直りするという蛇足展開の挙句、完全に善玉化するウォンカさんには残念だったけど(あの信念のまま突っ走るもよし、没落するもよし……ってファンタジー映画に何望んでるんだ私は)、まあ、ああいう大団円もいいでしょう。チャーリーの家族が本当に素朴に嘘っぽくなく暖かく描かれているから許す(何様)。ノア・テイラーがお父さん役で出てたのにひそかに大喜び。優しくて気弱でどことなく哀愁を漂わせた風情が大好き。ジョーお爺ちゃんも素敵。逆にクソガキどもはクソガキ度が若干足りない気がしたのがちょっと不満。ヴェルッカなんか原作読んでたら張り倒したくなる憎らしさなのに、映画では「あらちょっと可愛いじゃないの」と思ってしまったよ。私としたことが。
あ、それとウンパ・ルンパせんだみつお説に納得。(笑)