<TOP  4次元ポケットTOP  >>ロイヤル・コンセルトヘボウ管(2004.11.11)

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 東京公演
■ 2004.11.11 (日記より移動)
指揮:マリス・ヤンソンス/NHKホール/ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシュカ』/チャイコフスキー:『交響曲第六番』


 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のコンサートに行ってきました。(11/11)
 マリス・ヤンソンス指揮、NHKホール。ストラヴィンスキー『ペトルーシュカ』とチャイコフスキー交響曲第6番『悲愴』だなんて、私のための罠だとしか思えない。しかし正直なとこ、客層が悪かった。とにかく演奏中に物音が多い。携帯は鳴るは遠慮会釈なしの咳くしゃみだらけ。咳くしゃみを全くするなとは言いませんが、もうちょっと遠慮はしてほしいなあ。『悲愴』の一楽章の後は特にひどかった。指揮者が指揮棒をおろす前に、会場の半分くらいがしてるんじゃないかっていうような盛大な咳がはじまるのは一体どゆこと。なんだかオケと指揮者に申し訳ない気分になりました。まあ文句はこれくらいにしときますか。

 ヤンソンス率いるコンセルトヘボウ管は、派手さや目立つ華やかさはないけれど、筋肉質の引き締まった印象の音でした。堅実なリズム感覚と安定感。低弦はちょっと控えめで、弦より管、とくに中低音の金管の比重が高め。その良さが一番良く出ていたのは『悲愴』の三楽章だと思いました。まるでブラスの音のようなチャイコフスキー。精悍で格好良い。私は結構こういうの好きです。欲を言えば、低弦がもっとごりごりゆってくれればなあ…。まあ全般的にチャイコフスキーのほうが良かったです。『ペトルーシュカ』はなんと言うか、はじけっぷりが足りなかったと思う。音量もそれほど出てなかったし、リズムもしっかりハメようとする安定感があの曲には逆効果。勢いと跳ね回るような奔放なリズムがなあ。調子悪かったのかしら。この曲、こんなにピアノが前面に出てくる曲とは新発見でした。CDだとあまりそういう印象なかったんだけど。ピアノの蓋全開で、まるでプチコンチェルト状態。あとチューバが2本持ち替えている。チューバの持ち替えなんて初めて見たよ。ファゴットとかバストロンボーンとかバスクラリネットとかがヘンな音出しまくって大活躍する曲ですね。あのバリッというかベリッというか、一種の生理現象を連想させる音。前にどこぞの指揮者が思いっきり「屁みたいに吹いて」って指示するのを(あ、言っちゃった…)聞いたことがある。まあそういう音出すの、実際得意な楽器なんですけどね。

 休憩挟んでチャイコフスキーになった途端、水を得た魚のよう。音量もガンガン出始めて、『ペトルーシュカ』のときはホールの音響のせいかと思ってたけど、そういう問題じゃなかったみたい。レパートリーの歴史の違いか。ヤンソンス氏もスコアなしで振ってたし。冒頭のファゴットソロはパーフェクト! もうこれだけであとは安心して聴けます。弦の低音はあくまで上品なバランス。私好みのゴリゴリ低音は残念ながらなかったけど、その分中低音の金管が鳴る鳴る。特にトロンボーン、チューバが矢鱈に上手い。一楽章二楽章はちょっとうとうとしてしまったけど、目が覚めるような三楽章曲の後、四楽章の最後、あれだけうるさかった客席が、コントラバスの最後のフレーズの余韻が完全に消え、完全に無音のまま張り詰めた何秒かがあって、ヤンソンス氏が手を下ろすまで咳一つありませんでした。素晴らしい。最後の最後でオケの完全勝利です。さすがだよ。終わった後、ファゴット奏者が真っ先に立たせてもらってたのが嬉しかった。だってファゴット吹きには胃に穴が空きそうな曲だもの。アンコールはシベリウスの『悲しいワルツ』とワーグナー『ローエングリン第三幕序奏』。金管が上手いだけに、ローエングリンは最高に格好良かったです。




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