イゼルローンのタコ部屋。

印象派バトン(イラスト編) ――― 巽堂の場合。

Resonanceのchizuさんからキャッチ。うはー、自分の絵のことあんまり客観的に考えてみたことないので手こずりました。。

>回してくれた方の絵の印象

可愛い。とにかく可愛い。描く人物に愛嬌と遊び心があります。そして線が美しい。ここだ、というところに迷いのない真っ直ぐなラインを引ける人は尊敬します。

>周りから自分のイラストについて持たれる(と思われる)印象を5つ述べてください

あんまり面と向かって印象を言われたことはないんですが、いただいたコメントから推測するに、

・自然体 →ラフ? フリーハンドにも程がある?
・ノスタルジック →絵柄が古い?
・和風 →原色をあまり使わないせいだと思う。<パレット洗わないから?
・実体感、生活感がある →そりゃ実体験と実生活に基づいてますから。
・淡い →薄い?

>好きな絵柄 5つ述べてください

・安野光雅系、端正で遊び心のある絵。
・ミュシャ系、端正で色気のある絵。
・山田章博系、美しく躍動感のある絵。
・宮崎駿系、ほんのり和み系、でもメカニックは凄いぞな絵。
・伊藤彦造系、線だけで全てを表現してみせる、凄みのある絵。

>では反対に苦手な絵柄

品性のない絵。そういう意味では、最近騒動になったムハンマドの戯画は最低の部類に入りますね。批判することと侮辱することは違います。勿論、だからって火炎瓶投げていいってことにはなりませんけど。

>自分が描きたい、または描けるようになりたい理想の絵柄、スタイル

・きっちり描き込んだ奥行きのある背景。
・シャープな輪郭と色使い。
・油彩のような重厚な色使い。
・肉感的な絵。

……どれもこれもハードルが高すぎてバーが見えません。

>自分のイラストを好いてくれている人に叫んでください

ありがとうございます。おだてると木に登るのでほどほどのところで転がしておいてやってください。

>そんな大好きなひと15人にバトンタッチ!(イラストの印象付)

バトンはうまい棒と間違えて食べてしまいました。

ので、ここではこれまでに影響を受けたリスペクトする絵描きさん15人を挙げてみようかと思います。(出た毎度の設問無視!) 自分の絵の印象とか好きな絵柄を答える質問にえらく難儀して、つらつらと思い返してみたのですよ。大雑把に年代順に行くと、

小学生の頃
>描いてはいたけど、画力が全く追いついてない時代。まず全身像が描けてなかったと思う。


手塚治虫: 私に漫画家になりたいと思わせ、そして断念させた人。『火の鳥』、『ブラックジャック』、『アドルフに告ぐ』などの印象が強いけど、絵らしきものを描きはじめたときには『リボンの騎士』あたりを意識していたと思う。

鳥山明: 『ドラゴン・ボール』には影響受けましたねえ。『アラレちゃん』、『ひばり君』あたりからちょこちょこ読んでたけど、その頃まだ真似して描いてみようとは思わなかった。

宮崎駿: 一番好きなのは『風の谷のナウシカ』、『天空の城ラピュタ』。手塚治虫と同じように、意識的に真似したことはないけど、無意識のうちに絵のベースになっている気がする。


中学高校生の頃
>一番せっせと描いてた頃ですね。ほぼこの頃に絵柄のベース(少なくとも雰囲気というか全体のトーン)が固まったような気がする。


佐々木倫子: 大ブレイクは『動物のお医者さん』でしたが、特に初期の作品が好き。『ペパミント・スパイ』は別格。端正な絵に漂うトボケた味。

那州雪絵: 『ここはグリーンウッド』にはハマりましたねえ…。

日渡早紀: 『僕の地球を守って』にはハマりましたねえ…。

樹なつみ: 『花咲ける青少年』なども追っ掛けましたが、この人の最高傑作は『OZ』だと思います。これで私はミリタリー物に開眼。

清水玲子: 『月の子』がベスト。とにかく美しい。日本漫画界のミュシャ。

明らかに花ゆめ系なのが丸わかり。それ以外だと、

井上雅彦: 高校の時リアルタイムで『スラムダンク』追っ掛けてました。少年漫画系では一番影響受けたなあ。

西炯子: 『コインロッカーのネジ』と『三番町萩原屋の美人』。『三番町』の隠居とやり手の番頭が好きでねえ。モノクロのパキっとしたコントラストと人物のしなやかなラインが持つ独特の色気が堪りません。

道原かつみ: 『銀河英雄伝説』よりも『ジョーカー』シリーズですね。こういうシャープな絵柄には今でも憧れます。

華不魅: 『鉄錆廃園』、『グラマラス・ゴシップ』。絵柄そのものより世界観と服飾のセンスが好きだった。


大学生の頃
>この時代は不毛地帯です。ほとんど漫画を読んでなかったし、絵も描いてなかった。


山田章博: きちんとした漫画作品はほとんど読んでなく、主に挿絵やイラスト全般で見てました。美しく、かつ色気と躍動感のある人物画。心底爪の垢を分けて欲しいと思う。


社会人以降
>お絵かき熱が再燃してかなり読み散らかし、かつ描き散らしていたにも関わらず、好きな漫画に遭遇しても、もうあまりあからさまな影響を受けなくなってきた。真似できなくなってきたというか。絵柄が固定されてきたってことか……。


今市子: 『百鬼夜行抄』が出たときには、何故これを描いたのが自分ではなかったのかと理不尽に悔しかった。こういう漫画が描きたかったんだよなあ…。

黒田硫黄: 『大王』、『大日本天狗党絵詞』、『茄子』。この人は衝撃的だった。圧倒的な画力と有無を言わさないストーリー。筆ペン殴り描きスタイルには心の底から親近感。


他、好きだけど絵的にあまり影響を受けなかったのは、尼子騒兵衛(『落第忍者乱太郎』)、川原泉(『笑う大天使』)、やまざき貴子(ムシシリーズ、『っぽい』)、萩尾望都(『銀の三角』)、杉浦日向子(『百日紅』その他全て!)、岡野玲子(『ファンシィ・ダンス』、『コーリング』、『陰陽師』)。

別格級の方々ばかりですな。

最近は『蟲師』(漆原友紀)、『銀魂』(空知英秋)、『不思議な少年』(山下和美)、『のだめ』(二の宮知子)あたりを追っ掛けてますが、やっぱり絵に衝撃を受ける絵描きさんにはなかなか出会わなくなった。どなたかお薦めがあったら是非教えてくださいませ。


(2006.2.17)




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巽堂/Tatsumidou