2005年6月の不定期日記 戻る 
不定期日記

■ 2005.6.27   小官は

 もう駄目であります。

 というわけでクーラー解禁。なんなんですかもう。雨ばかりで寒かったと思ったらいきなり真夏日なんて。この調子では夏バテ一直線。

 都響第611回定期に行ってきました。東京文化会館。
 オンド・マルトノという謎の楽器を見てきました。演奏会が終わってからも謎は謎のままでした。いったいどういう原理でどうやって音を出してるんだ? プログラムで演奏者の原田節氏の経歴を見ると、3歳からヴァイオリン、7歳からピアノをはじめ、パリ大学を経てパリ国立高等音楽院オンド・マルトノ科(そんな学科があるらしい! 恐るべしパリ音楽院)主席卒業とのこと。あっさり3行で片付けられてますが、ピアノからオンド・マルトノに辿り着くまでに一大ドラマがあったはずですよ! 絶対! そこを書いてくれなきゃ。

 曲目はその謎楽器を使った2曲、原田節『薄暮、光たゆたふ時』と、メシアン『トゥランガリラ交響曲』。メシアンは全10楽章の長い曲なんだけど、プログラムと突き合せながら楽章を数えていたはずなのに、最後で1楽章ズレてました。きっとどこかにゲネラル・パウゼかアタッカか、あるいは私の記憶が飛んでいた一瞬があったに違いない。すんごい難しそうな曲で、フレーズも繰り返しが多いから記憶を飛ばしやすい曲ではあります。でもそれを補って余りあるのが、指揮の井上道義。踊るような(っていうかまさに踊ってる)指揮にもう目は釘付け。途中から指揮者ウォッチングに夢中で、何しに来たのかわからない私。(だから楽章落としたのか私…) 背が高くて風采もいいですよね。つるっぱげなのもご愛嬌。アンコールで舞台に出てきたときに、舞台真ん前の座席から帰ろうと席を立ったお客さんに手を振って挨拶してました。面白すぎ。一緒に行った同志は若杉氏追っかけなので、私は井上さん追っかけしようかな。


■ 2005.6.25   そんなものいらない

 愚痴注意報。

 案件の分配をする管理職が最近よく、「これできる?」と個別に打診してくるのはいいんですが、持ってくる案件の内容を全く確認せずにやってくるのはどういうこと。大体において「量が多い」か、あるいは「急ぎ」。一応さ、担当分野ってもんがあるはずで、でもそうも言ってられない状況があることも理解できるけど、私がその場でぱらぱら見て判断がつくような程度のこと(大体そこでじっくり内容確認して、無理せずできるかどうか判断するような時間は概ねないのだ、こういう場合)、自分で考えてくれませんかねー。毎週めんどうくさい進捗報告書だって出してるんだから、仕事の詰まり具合だって把握してるはずでしょ? 采配ってのがこんな程度でいいんだったら、管理職ってホントいい商売ですね。マネジメントってきちんとやろうと思ったら、実働部隊の一兵卒より遥かに大変な仕事のはずで、だから世の中の管理職が下っ端よりヒマそうに見えるとしたら、そいつはきちんとマネジメントしてないってことだ。だからマジメにやってる中間管理職とかが正当に評価されないんだよね。マネジメントしないなら、いざというとき責任取ってくれるだけでもいいんだけど。最低限、そのどっちかです。どっちもやらないなら、そんな管理職いらない。


■ 2005.6.21   突発案件

 来ないときは一切来ないのに、来るときには雪崩をうってやってくるのは何故。ようやく一段落つきました。明日と明後日にも締め切りがあるけど、まあ平和な部類の締め切りだ。

 『13日間 キューバ危機回顧録』 ロバート・ケネディ/毎日新聞社外信部 訳(中公文庫)
 感想は長くなったのでこっちに移動しました。


■ 2005.6.19   早速

 買ったばかりのオーブントースターでトーストを炭にしました。うっかりセットしたまま放ってしまって、ふと思い出したときには煙が出ていて惨事に気づいたよ。いやあ本当に黒い。炭化物だ。てゆうか勿体ない。私のブランチ……(涙)

 今日の『花嫁』。個人練習で何とか二分音符=120でギリギリできるようになったけど、合奏で合わない……。人間の集団ですから多少伸びたり縮んだりしますもんね。

 レモンコーラは普通のコーラとどう違うのかあまりわかりません。普通のコーラよりちょっと酸味が残るかなあという程度。普段あんまり飲まないのでね。


■ 2005.6.18   にわか

 ところ天ブームですか? スーパーで見事に売り切れ。どこぞのTV番組で紹介されたそうで。困るなあ。私の夏の主食なのに。代わりに葛きりを買ってきましたが。

 ところで、ところ天は東西で大きく甘酢派と黒蜜派にわかれるようですが、私はどっちでもOKです。ずっと黒蜜派で(というかそれ以外知らなくて)、就職して関東に来てはじめて甘酢という選択肢があることを知ったんですが、本当に暑いときは酢のほうが旨いですね。私、味覚は基本的に東西どっちでもいけます。コレじゃなきゃ駄目、というポリシーがないもんで。

 『本は寝ころんで』 小林信彦(文春文庫)
 『<超>読書法』 小林信彦(文春文庫)
 両方とも昔読んだことがあるような気がするんだけど、『寝ころんで』はところどころデジャヴュがあるものの、『<超>』はさっぱり記憶がない。翻訳小説、特にミステリの紹介がとんでもなく幅広くて詳しい。元翻訳ミステリ雑誌編集長の面目躍如ですね。こういう人に自分の好きな作家や作品が褒められていると飛び上がるほど嬉しい。逆に貶されていると顔色を変えておろおろするもんですが、今のところそういうのはなさそう。むしろ読んだことない作家や作品のほうが圧倒的に多いので(大体翻訳ミステリ、しかも本格モノって私が一番読んでないジャンルだ)。山本夏彦を買っているらしいところはちょっと趣味が合わない。ああいうあからさまな説教親父は苦手でしてね。


■ 2005.6.17   誤算

 晴れてオーブントースターを買いました。1500円也。安。というかそんな基本的なものもなかったのかと言われそうですが、これまでパン食より麺食が多かったのであまり必要を感じていなかったのでした。家でピザとかあまり食べようと思わないしねえ。我が家は結構ない電化製品多いです。電子レンジもないし電気ポットもない。一番驚かれるのはテレビですか。なくても結構生きていけるもんですよ。以前は三日以上の連休に入るたびに日付と時間が確認できなくなるのだけは困ったけど、携帯を持ちはじめてからはそんな問題もなくなったしね。

 じゃなくてオーブントースターの話。近所のスーパーで安売りしていたのに前々から目をつけていたのですが、今日ほくほくと買って帰り、置き場所に想定していた台所のラックに置こうとして……ん? 幅がつかえる……。測量ミスです。あああ。ここに置けないとなるとどこに置けばいいのさ。ちゃぶ台代わりのこたつテーブルに置くしかないのか。ちょっと前の大粛清でせっかくものを減らしたのに相変わらず混迷の我が家。


■ 2005.6.15   作家たち

 殊能将之の『鏡の中は日曜日』が文庫落ちだそうで、IN POCKET 6月号に鮎井郁介の抗議文が載ってます。これ知らない人が読んだら絶対に本気にするよね! とどめとばかりに殊能さんがWEB日記に「殺す」とか書いてるし(笑) これって根性にトリプルアクセル入ったプラクティカルジョークですよ! IN POCKETも(殊能将之)とか入れなきゃもっと面白かったのに。

 真相を知りたい方は『鏡の中は日曜日』を読みましょう。(ええ臆面もなく回し者ですよ、ファンですもの!) この人のこういう売る気があるんだかないんだかってスタンス大好きです。

 このIN POCKETの作家自身によるもうひとつあとがきにはたまに秀逸なのがあって楽しい。リービ英雄と津原泰水が読めるのは儲けものです(バックナンバーで読めます)。津原さんの幻想小説とは何でしょうという問いに対する「真剣に定義していたら人生が終わる」って一言がすごく好きだ。そう、確かに人生終わるよね。あらゆる意味で。

 一方で倉橋由美子逝去。『パルタイ』と『大人のための残酷童話』くらいしか読んだことないけど、こういう作風の人は今後滅多に現れそうもないですね。合掌。


■ 2005.6.13   弱

 先々週末の城ヶ崎海岸で本当に焼けたらしく、目の縁(ちょうど日焼け止めをおざなりにしか塗ってなかったんですな)の皮がぼろぼろと剥けていたのですが、やっと脱皮完了。こういうことは過去にはなかったんだけどなあ。焼けると皮は剥けずに黒くなるタイプだったはずなんだけど。歳のせいもあるんでしょうけど、それ以上に昔より格段に抵抗力が落ちている気がする。やだなあ。

 田中芳樹、さらに倍。
 『黒蜘蛛島』 田中芳樹(講談社)(6/12)
 『夜光曲』 田中芳樹(祥伝社)(6/13)
 涼子ちゃんがどんどん可愛くなってきた。しかし二作続けて大型ゴミを海に投棄したのには感心しない。田中先生には地球環境を疎かにしないよう反省を促したいですね(ジョーダンですよ当然ながら)。


■ 2005.6.12   地平線

 しおしおと練習行ってきました。タイミング悪く歯の処置と演奏会の時期が重なってしまって思うように練習できないのがつらい。麻酔かけられちゃうと2〜3時間は感覚がないので、午前中に歯医者に行っても、その後練習はほとんどできずに合奏練習に行く羽目になる。でもスメタナは何とか地平線が見えてきたよ。出来ているとは言えないけど、もうちょっと頑張れば何とかなりそうという希望が見えてきた。この際、目立つところ以外は捨てることにしました。<出た、本番前の開き直り。弦がごりごり弾いている裏なんて聞こえやしないもんね!(暴言)


■ 2005.6.11   梅雨入り

 空調のフィルタ掃除しなきゃ。

 ちょっと奮発して地元産のトマトを買ったらこれがすごく美味い。ちょうどいい頃合の完熟トマト。皮がしっかりしていてしっかり甘くてしっかり酸っぱい。ちゃんと味がするトマトはひさびさです。塩をちょっと振ってほぼ毎食食ってます。

 『一日江戸人』 杉浦日向子(新潮文庫)
 杉浦日向子って、実はかなり絵が上手いと思う。素朴に見えるけど、特徴の捉え方とか全体のプロポーションがすごく的確。それであんなに面白いセンスで面白い語り口なんだから凄いとしか言いようがない。ちなみに最後の江戸ッ子十八のチェック、私は十三あてはまりました。並みの東京人以上、江戸ッ子の末裔の東京ッ子未満。おかしいな、どちらかというと関西の気風のほうが肌に合うと思っていたんだけど。まあでも今の東京の気風と江戸ッ子気風はまた違いそうだし。


■ 2005.6.10   忙しかったわりに

 低調な週だった。横から他人の遅れに遅れた案件が割り込んで来たり予定外の飲みが入ったりと慌しかったんですけどねえ。ひょっとして私、もうこの仕事倦怠期なんだろうか。一年くらいでいくらなんでも早すぎるだろう。やっぱ正社員に向いてないのかな。

 突発的に瀬戸内萌えしてます。呉に行きたい。目的は当然、大和ミュージアムです。10分の1戦艦大和が待っている! 江田島の旧海軍学校にも行きたいし自衛艦の試乗もしてみたい。ついでに尾道から因島能島来島を回って村上水軍遺跡巡りもしたい。勢いに任せて広島近辺のガイドブックを買い、昼休みに舐めるように隅から隅までチェックしまくって詳細にプランまで練ってしまった。本格的に暑くなる前に行かなきゃ。棒茄子も出たしね!

 妙に頭と目が疲れていたんですが、何だかんだでいろいろ読み散らかしてました。

 『石の中の蜘蛛』 浅暮三文(集英社文庫)(6/6)
 ミステリとしての展開には「んん?」と首を傾げるところがあるし、ハードボイルドとしては言ってはなんだけどかなり引き籠もり気味の主人公がいきなりあんなに手際よく謎の追跡ができるというのはちょっと出来すぎな気がしないでもない。けど、ファンタジーとしてはかなり読ませる。何より音の表現、描写が凄い。素晴らしい。主人公が音で世界を再構築していく過程を描いた第二章はこの小説の白眉だと思います。私の殿堂入り本の一つにジュースキントの『香水』があるんだけど、これを初めて読んだときの背筋に震えがくるような感覚と同じものを感じました。『香水』は匂いで世界を再構築してグロテスクに愛の本質を暴いてみせたけど、この小説は音を視覚化して同じことを達成したと思う。

 『パイド・パイパー』 ネビル・シュート/池央耿 訳(創元推理文庫)(6/8)
 『渚にて』を読む前にこっちを読んでしまった。ええと、ガキ……もといお子様が苦手な私にはある意味大変しんどい小説でした。聞き分けのないクソガキ見るとデコピンしたくて堪らなくてですね……。逆に言えば、子供の描写が実にリアルだってことですね。子供に限らず、登場する脇役でしかない数々の無名の人物たちがすごくリアル。話の筋は地味きわまりなく、主人公の爺ちゃんはいかにもイギリス式のヒューマニズムを体現する人物で、結局のところイギリスへの愛の賛歌だと思うんですが、それでも最後までほぼ一気に読めたのは、とにかく第二次世界大戦下のヨーロッパのディティールが徹底的にリアルだったせいだと思います。

 ついでに田中芳樹二連発。
 『バルト海の復讐』 田中芳樹(光文社)(6/9)
 『クレオパトラの葬送』 田中芳樹(講談社)(6/10)
 薬師寺涼子シリーズは女のドリーム小説であると同時に男のドリーム小説でもあるということに気づきました。涼子ちゃんが無様で無能な男どもをヒールで蹴散らかしてやりたい放題やるという意味では女のドリーム小説。努力もなしに美女が迫ってきて何らリードせずとも勝手に鼻面を引き回してくれてスリル満点なジェットコースターライフを味わえるという意味では男のドリーム小説。


■ 2005.6.7   あれやこれや

 スタックしまくってます。コピーロボ、プリーズ!

 阿呆なこと言っている間にメール溜めててすみません。明日以降、可及的速やかにお返事します。でも今日から三連チャンが決定したんだよな……

 酔っ払いの頭のまま、これだけは叫んでおこう。銀英フリークが職場に見つかりました! なんとコンサート荒らし同志その人でした! 我が潜伏人生にもやっと春が来たよ! ちょっと話をした限りではかなり重度のフリークと見受けたものの、こういうことには慎重を期すべきでしょう。とりあえず、お互いにどの程度の脳内汚染度なのか、当面、手薬煉引いて相手の出方を伺う日々になりそう。会社に行くのが(仕事が、ではない)こんなに楽しいなんて!


■ 2005.6.5   ちょっと

 下田まで。羽伸ばしに行って来ました。天気予報は良い方に外れて雨も降らず快適でした。美味しいものを食べた分は城ヶ崎海岸をてれてれ歩いて消費したと思うのだが、どうも引き換えに日焼けしたらしく若干顔が痛い……

 というわけで積もる更新もあるのですが、今日は申し訳ありませんがパスさせてください。これから洗濯しなきゃ。


■ 2005.6.3   いろいろ

 久々に心を入れ替えて真面目に仕事をしていると連鎖的に新しい仕事が増えるのは何故だ。やっぱサボれってこと?

 『バッド・エデュケーション』観てきました。(6/1)
 いやあエグかった。でも美しかった。映像がとにかく息を呑むほど綺麗。映画でも絵画でも、スペインの黒は本当に美しい。強い日差しが切り取る暗い暗い影、明かりの乏しい石造りの教会の廊下の暗がり、神父の黒い長衣が翻るさま。そしてその強い陰影に縁取られた色彩の鮮やかさ。さらにまた音楽がいい。剥き出しの欲望が描かれるときに流れる荘厳なミサ曲ほど、人間の狂気を感じさせるものはない。ストーリーは虚実が巧妙にない混ざる実に隙のないサスペンス。私は当然ガエル君を観に行ったんですが、あの女装は素晴らしい。ジュリア・ロバーツ風の見事な美女っぷりだけでも観に行く価値はあります。あ、でもあからさまにゲイが描かれてますので、苦手な人にはお奨めしませんが。しかしちょっとショッキングな発見。もしかして君、結構背が低いですか? それとも共演者がみんな馬鹿高いのか。それと妙にころころしてるのも役作りのせいなのか。これまで観た映画では全く気にならなかっただけに落ち着かないなあ。

 『七都市物語』 田中芳樹(ハヤカワ文庫)(6/2)
 ほぼ唯一と言っていい、まったく手に取ったことがなかった田中芳樹作品。テイストは結構好きかも。銀英伝の世界から徹底的に甘さを抜いた感じ。ただオリンポス・システムの設定はなあ……いくらなんでも戦争を地上戦だけに限定するなんて無茶だよ。大体、飛行機も飛べなくなるなんて輸送系の日常業務が立ち行かないではないですか。人間一度手にした利便性は不可逆なものですよ。そもそも戦闘機が飛ばない戦争モノなんて……!<本音はそこか。どうせなら石油なんかの燃料系も徹底的に枯渇させて装甲車での陸戦から騎馬戦にまで逆戻りさせれば良かったのに。でもそうすると近未来でやる必然性ゼロですね……






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