イゼルローンのタコ部屋。
銀河歌声喫茶 Vol.4 NYC MAN あなたに傷つけられたら、もうどうしたらいいかわからない
ニューヨークシティの男
うーん、こんがらがりすぎてるな、嘘を吐くには
男だし、オ・ト・コ。瞬きしてみて
ブルータスはいいスピーチしたけど、カエサルは裏切られたし
星たちは目蓋をかたく閉じ
ニューヨークシティの男
俺はニューヨークシティの男、愛してる
(Lou Reed/訳:巽堂)
アッテンボローによるヤンに捧げるラブソング(笑)
というわけで、ルー・リードの今度はちょいアップテンポな曲(バラードづいてましたからな)。これも有名な曲ですね。ルーの歯切れのいいニューヨーク訛りと、歌っているというよりスキャットに近い歌い方が魅力。 曲想からすると二人称は「あなた」より「君」とか「おまえ」にしたほうがしっくりくるんだけど、アッテンボローがヤンに向かって逆立ちしたってそんな言葉遣いしそうにないので、泣く泣く却下。アッテンボローはイギリス人、それもロンドンっ子(中産階級以上)だとかたくなに思っているんですが、唯一の例外としてニューヨークっ子でも許します。とにかく都会っ子な印象がある。ヤンは転勤族。<なんか急に卑近。 そこかしこがイロイロおいしいこの歌ですが、まずは「あなたが単刀直入だったらいいんだけど 」のくだり。設定としては、後輩君が勇気を出して先輩に告白したあと(と勝手に断定)。後輩君はもう覚悟が固まっているけど、先輩は半分パニック状態で自分の気持ちもはっきりしない。きっと気の迷いだろうから、なんとか諭して軌道修正してやろうなんて、何もわかってないことを思っていたりする(と勝手に妄想)。そう考えるとこのくだり、自分でもナニ言ってるのかわからなくなってるヤンらしいと思いませんか。「気持ちは嬉しいけど、そのう……一応男同士だし、うーん…」とかなんとか。このアホ。つべこべ言わずにつきあっちゃえ!(出た本音) それから、「未練なくきっぱりと」と訳したところ。原文ではwithout any remorseとなっていて、これ辞書を引くと最初に出てくるのは「容赦なく」なんですね。口では「消えるよ」なんて言っておきながら、「ほんとに俺が消えちゃっていいワケ?」とちょっと意地悪にプレッシャーかけている後輩君が目に浮かぶではないですか。この策士め。結局ヤンはアッテンボローが傍にいなくなるなんて耐えられないのでOKするしかない。だから最初から無駄なあがきですよ、ヤンさん(笑) (2005.5.15)
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巽堂/Tatsumidou
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