イゼルローンのタコ部屋。

OVA3巻の感想垂れ流し。

なんだか全体的に地味な3巻ですが、行ってみましょう第九話。クロップシュトック事件。そういやそんなのありましたな。忘却の彼方に消し飛んでました。このOVAほんと原作に忠実に作ってるなあ。ブラウンシュヴァイク公が予想外に若い。もっと古狸を想像してたんだけど。フレーゲル男爵の声がいいなあ。

出た。ラインハルトの「イヤだ」。もう一発、「嫌いだ」。キルヒアイスがまるっきり幼稚園児を宥める保父さんです。私は原作からマグダレーナ男爵夫人が大好きなんですけど、OVAでもいいキャラに描かれてますね。度胸もあるし良識的だし、この人こそ政治家になったらどうかと思うんですが。そして、アンスバッハとフェルナーが格好いい! 確か原作でもこのあたり結構退屈で読み飛ばしまくってた記憶がありますが、そんな私に唯一潤いを与えてくれたのがこの二人。アンスバッハは死んじゃうんですよね。生きてて欲しかった。ファーレンハイトとかロイエンタールの下についてくれれば、そのキルヒアイスに次ぐ忠臣属性を活かして、かなりオイシイ展開を期待できたろうに。<そういう惜しまれ方って…

さて、あえてここまで触れてきませんでしたが、この回の最大の突っ込みどころはこれに尽きる。キルヒアイスの私服! そして弁当箱みたいな分厚いノートパソコン!(大爆笑) もう何も言うことはありません(ひー涙出る〜!)

第十話。うーむ、また皆顔が変わっている。ヤンの政治家嫌いは無駄な悪あがきですな。嫌いでもつきあわざるを得ない人間というのは社会生活送る上で必ずいるもんだ。というわけで、政治家としてのジェシカ・エドワーズ登場。しかし「式典に出ないで」はないんじゃないかジェシカ。うかうか選挙戦略に利用されたヤンも間抜けだけど、あの一連の言い草は随分勝手です。しかもジェシカの一党、あれじゃ過激派と変わらん。いくら反戦ったって私なら支持しませんね。このあたりのOVAの描き方は随分乱暴な紋切り型でちょっとうんざりする。

士官学校時代の回想シーンは何と言うか、正視しづらいイタさ加減ながらも若ヤンが格好よくてついついかぶりつきに。うわーしかし積極的なヤンって! 似合わない〜〜〜! 女の子ダンスに誘うような甲斐性あったのねヤン! でもジェシカに振り回されてるよヤン! 横からとるなんて酷いぞラップ! 負けるなヤン! 頑張れヤン! なんだか電車男を応援する気分に近い……<酷

思うにこの時点から後、フレデリカへの求婚までのヘタレ状態はこのときのトラウマが原因なんじゃ。

第十一話。陛下の輝かしいロリコン伝説の回。嘘。女優退場です。ベーネミュンデ、綺麗じゃんと思いました。あのアップにした奇天烈な髪形はともかく、三つ編みした姿は結構可憐。しかしわらわって、いつの時代の人?

「夢を見たんだ」は銀英全編通じて一二を争う名台詞ですね。

アンネローゼを見かけたときのロイエンタールの言い草が実に彼らしい。「そんな気がしたが」 基本的に女はどうでもいいらしい。ロイエンタールって肉体的にはともかく、精神的には確実にゲイな人だと思います。ここらへんがポプランやシェーンコップとは違うところですね。この回のキルヒアイスは掛け値なしに格好良い。フレーゲル男爵の声がいいなあと思っていたら、二又さんだったんですね。

この回は是非ともオペラ化すると良いと思います。曲はプッチーニあたりにベタな感じに作ってもらって、豪華絢爛なセットとコスチュームプレイで仰々しく悲劇的に。ベーネミュンデは魔笛の夜の女王みたいなコロラトゥーラ・ソプラノで是非。真打は勿論陛下。「どうせ余もすぐに参る」のくだりなぞ、バリトンのアリアでしみじみと退廃的に観客を戦慄させていただきたい。陛下素敵。真っ黒なオーラが素敵。

第十ニ話。冒頭のシトレ元帥の台詞を聞いて思ったんだが、そもそもなんでイゼルローン奪取を命じたんでしょうね。とっても今更ですけど。奪取するんじゃなくて破壊すれば良かったのに。そのほうが遥かに簡単だし、後腐れもないしさ。軍事力の均衡による抑止力を期待するんなら、圧倒的な軍事的優位を手にしてはいけないのでは? ま、実際そんなことしたら銀英伝後半が成立しなくなるのでいいんですが。

こんなこと言ってますが私はシトレ元帥好きです。レベロもね。この頃のレベロは結構好きです。OVAのほうが辛口な人物像に描かれている気がする。しかし四時間復旧しないってひでえな。

それにしても最高評議会の議論は酷い。パロディとしても酷い。なんかむかついてきました。紙幣発行高を増やすとは恐ろしい台詞をさらりと吐いてくれる。不経済だから戦争を止めるのはおかしいというのもかなりおかしい。不経済だから戦争を止めるのは普通のことです。というか当たり前です。交通麻痺が四時間復旧しないくらい人的資源が枯渇しつつあるのに、さらに戦争を続けられる同盟の人口と生産力って一体どうなってるんだ。本当に議会でこんな会話が繰り広げられているとすれば、シェーンコップじゃなくても対地弾道ミサイルの一発も打ち込んでやりたくなるね。

潤いのない話はやめにして、ホアン・ルイのイメージはなんか違うぞー。少壮の政治家って設定だったのでは? 少壮って壮年より若いってことですよね? これでは歌丸さんですよ。歌丸さん好きですが。

この回はフォークの独壇場。イタい奴ですが実際いるよなーこういうの。この回のフォークの演説を聞いてたら『アドルフの画集』でのアドルフ・ヒトラーのキレた演説を思い出してしまったよ(だから実写化計画でついノア・テイラーを当ててしまった…)。ロボス大将がカーネル・サンダースみたいです。ウランフ男前ー。ビュコックの意地悪爺さんっぷりが素敵です。「いきあたりばったりということかな」とか「選挙が近いからではないかね」とか、いちいちそんなにいぢめてあげなさんな。所詮相手は小者ですよ。捨て置かれればよろしいでしょう御老公。あービュコックで水戸黄門やってほしい!(笑) チュン・ウー・チェン=助さん、スーン・スール=格さんで!

御老公とお供の者ども
スーン・スールとチェンさんの顔がわかりません。ので脳内イメージです。全然違ったらごめんなさい〜

というわけで、3巻まとめ。
・ひそかに陛下をお慕い申し上げております。(ポリシーないのかお前)
・全体としてあからさまに脱線と文句が多いのは間違いなくアッテンボローが全然出てこなかったせいだ。(むきぃ! 潤いがない!)

(2005.5.4)




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